孫のちゃんのかんざし
沢山のお友達が誕生をお祝い下さったこと、
大きくなって、このかんざしを使う時に教えてあげたいと思います。
お友達のかんざし職人の岸本さんの投稿をシェアさせていただきます
【現代のお誂えって?】《前編》と《後編》の長文です今だと…着物は、お誂えかな?と、思いますよね。今回は、かんざしアーティストとして、ある先生に向けて…みなさんからの、お孫さん誕生のお祝いとして…サプライズの贈り物のご依頼でした。つまり、ご本人様は、生まれたての赤ちゃんということに…
今回は、赤ちゃんであるご本人様にご要望をお聞きすることもできないし、
先生にもサプライズだから、内緒で進める計画なので、ストレートにご要望は、聞けないし
さてさて…どうする???
そこで、ご依頼主様からのお題として、
一枚の空の写真を見せていただきました。
多分…私がその写真を眺めていたのは、5秒くらいじゃないでしょうか
制作のヒントに…と、あとは、
その誕生されたお孫さんのお名前をお聞きすること…
何から始めようか?
お写真を拝見したので、
その印象は、残っていました。
雲の形は…龍の様に…
お名前に入っている漢字として、
桜は、何で表現しようかな?
今までは、もちろんシルバーで桜を表現してきたけど、お孫さんとなると…
もっと柔らかくかわいいのがいいな〜
ひとまず、ちょうどいいサイズの
桜の珊瑚が世の中にあるのかどうか?
探してみよう!ということで、
高知県の珊瑚屋さんへ問い合わせてみると…
1つならある。とのこと…
うーん…1つかぁ…
ちょっと寂しいな〜
あと2つ買うから、
彫ってほしい♫と言ってみると…
それなら、今、ちょうどいい
きれいなピンクの珊瑚があるよと…
あるの?!
それ!それがいい!!!
と、まだデザインも決めてないのに…
先に3つ買うから!と言ってしまう私…
もし、デザイン提案してみて、
珊瑚がお気に召さなければ…
なーんてことを考えてる暇は、
なかった…
櫛の納期は、お孫さん誕生のお祝いだから…なるべく早くがいいし、
珊瑚は、今からご用意いただくのだから、早く決断して頼まないと!!!
ひとまず、桜の珊瑚を頼んだら、
これまた異例の速さで納品してくださった~
材料が揃って、ようやくデザインの提案。
やっぱりあの5秒くらい眺めた写真を元にするなら…。
もう一度、見せていただけるように、
メールで添付していただこうか?と一瞬、思いましたが…
いやいや、空に浮かぶ雲の形を
いくらじっくり見たとて…
硬い銀で表現しようとするのは、
そもそもが不可能なので…
(絵ならともかく)
あの5秒くらい眺めた時の
印象と、その写真から感じたエネルギーだけで、いこう!と決断。
ベースの形を2つ提案させていただき、
石の配置を3パターン。
もちろん、デザインによって
価格が違うので、見積金額も添えて…
そ、そしたら…
一番、ゴージャスな
『桜の珊瑚三つのせ』
↑
丼ぶりじゃないんだから
に決まりました
デザインが決まるまでの間に
銀板を用意!
こちらも、材料屋さんで、
常時、ある材料じゃないから、
また急いで作っていただかないと…
私がご依頼を受けていますが、
いろんな分野の職人さんのお力を
集結させて、
ようやく
1つの作品ができあがります。
さーて、デザインが決まり、材料が揃えば、ようやく私の出番です!
やっと?!って、感じですね〜
さ〜て、今回は『櫛』です!
みなさん、櫛の足?は、どうやって作ると思います?
大概は…がーっと、機械でやるんでしょ?って言われるんですが…
銀板をがーってやる機械、
無いんです
糸鋸を手で上下させて、
ぼぼ直線に切るのです。
ワタシが!
ほぼ…直線?
いくらなんでも、人間なんで…
ほぼ…です!
これは、かなり集中力が必要な作業なので、TVの撮影とか、
人に見られながらやるのは…
ちょっと…無理
明日、久しぶりにTVの撮影あるけど、
櫛は、やりませんよ〜
インターフォンのピンポーンとか、
息子に話しかけられるとか…
私の気が散る事は、
この作業中には…
できるだけ避けないといけません
※本当は、集中できる夜中にやりたいくらいなんですが、音がうるさいので、昼間にしかできません
櫛の歯が上手くできたら…
図面通りに糸鋸でカットしていきます。
計算したことないけど…
糸鋸でカットする距離合わせたら
100cmは、軽く超えてると思うんですが…
金属用の糸鋸の刃って、
細かい図面になると、当たり前ですが
細い刃を使います。
ということは…
実は、先程説明したように
ピンポーンとか、不意に話しかけられたりして、集中力が切れると…
実は、細い糸鋸の刃は、
折れちゃいます
なんと…私が使う糸鋸の刃の幅は、
0.3〜0.1㍉なんです
シャーペンの芯でも、0.5㍉でしょ?さらに細いから〜!
でも、これは、日常的なことで、
職人の立場からすると【金属用の糸鋸の刃は、折れるもの!】だから、消耗品という感覚なんです。
これだけの作品を作るときは…
糸鋸の刃の一本や二本、折れるのは、
当たり前なんです未熟な時は、5本くらい折れてたかも
でも…
この作品をお作りさせていただいたときは…
完成してから、気がついたんですが…
一回も糸鋸の刃を取り替えていない!
つまり…
一度も糸鋸の刃を折らずに
完成させられた!ってことなんですよ〜
こ、これは…
なかなかの出来事でしたよ!
自分でも驚き
アタシ、職人歴17 年目になるけど…
まだまだ成長できるんだなぁ〜と、
自分を褒めてあげたくなりました
\(^o^)/
おそらく…
今回のご依頼は、
そのお祝いされる先生への
みなさんからの【愛と感謝】が、
私に力を与えてくれたんだと思います〜♫
《後編》に続く…